コラム

2026年スタート予定の「こども支援NISA」とは

作成者: 小林茂美|Dec 21, 2025 9:30:00 PM

ジュニアNISAの次に来る“子ども名義の非課税口座”

「ジュニアNISAは終わったし、子どもの資産形成ってどうしたらいいの?」
「ニュースで“こども支援NISA”って聞くけど、結局なにが変わるの?」

こう感じている親御さん・FP・投資家の方も多いと思います。
2025年12月時点では、**こども支援NISA(こどもNISA)はまだ“正式決定前の制度(仮称)”**ですが、
2026年度の税制改正で導入される可能性がかなり高い状況になっています。

ここでは、

  • どんな制度として検討されているのか

  • 旧ジュニアNISAとの違い

  • いまから何を準備しておくと良いか

を、2025年末時点でわかっている範囲で整理します。

 

1.こども支援NISAの“ざっくりイメージ”

こども支援NISA(仮称)は、

18歳未満の子ども名義で、
投資信託などを非課税で長期運用できるようにする制度

として検討されています。

ポイントはこのあたりです(※現時点の検討内容)👇

  • 対象:0歳〜18歳未満の子ども

  • 目的:教育資金・自立資金など「子どものための資産形成」を後押し

  • 仕組み:

    • 新NISAの「つみたて投資枠」を、未成年にも開放するイメージ

    • 年間の投資上限や総枠は、
      「年60万円・非課税保有限度額600万円・非課税期間は無期限」
      といった案が有力と報じられています(あくまで案)。

正式なスタート時期はまだ確定していませんが、

  • 金融庁は2026年度税制改正要望に盛り込んでおり

  • 早ければ2026〜2027年のどこかで開始されるのではないか

というのが、現時点でのコンセンサスです。

2.ジュニアNISAとの違い

よく比較されるのが、すでに終了した「ジュニアNISA」です。

ジュニアNISA(〜2023年)

  • 未成年名義で年間80万円まで投資が非課税

  • ただし18歳まで原則払い出し不可という縛りが重く、
    利用が伸びませんでした。

これに対して、こども支援NISAは“改善版ジュニアNISA”のような位置づけで、

  • つみたて投資枠(=長期・分散向きの投信中心)を使う方向

  • 引き出し制限はかなり緩く/または設けない方向で議論が進行中

  • 非課税期間は“無期限”案が有力

など、「使い勝手」を重視した設計が検討されています。

※最終的な仕様(払い出し制限の有無・非課税枠の具体的な数字など)は、
税制改正大綱と法案成立を待つ必要があります。

3.何がうれしい制度になりそうか

現時点の情報から、「もしほぼこの方向で決まれば」という前提でメリットを整理すると:

① 子ども名義で“本物の長期運用”ができる

  • 新NISAは現行ルールだと18歳以上が対象で、子ども名義では作れません。

  • そのため、教育資金や将来資金を作りたくても、
    実務的には「親のNISA枠を使って、子ども用として積み立てる」運用が一般的でした。

こども支援NISAが実現すれば、

子ども自身の名義で資産を作り、
将来“自分の資産”として受け継がせやすくなる

という意味で、金融教育的な効果も期待できます。

② 引き出し制限が弱い=現実的に使いやすい

  • ジュニアNISAの“18歳まで原則引き出しNG”は、
    「途中で何かあったとき使えないのが怖い」と敬遠されがちでした。

こども支援NISAでは、引き出し制限の緩和 or なしが検討されているため、

  • 「高校のタイミングで一部使いたい」

  • 「留学費用でまとまって使うかも」

といったニーズにも対応しやすくなる見込みです。

③ 非課税期間“無期限”案はインパクト大

  • 旧ジュニアNISAは非課税期間が決まっていましたが、
    こども支援NISAは無期限の非課税運用が検討されています。

これは、

「子どもの教育費」
+「将来残してあげる資産」

両方を同じ器で準備できる可能性があり、
子どもが20代・30代になっても、そのまま長期運用を続ける…という使い方も視野に入ります。

4.注意しておきたいポイント・限界

一方で、こども支援NISAだけで全て解決、という話でもありません。
現時点で想定される注意点は、たとえばこんなところです。

① 制度はまだ「要望段階」=中身も時期も変わりうる

  • 金融庁は2026年度税制改正要望として“こども支援措置”を出していますが、
    最終決定はこれからです。

  • 年間の上限額・総枠・開始時期などは、
    今後の政治状況や与党税調の判断で変わる可能性があります。

そのため、今時点で

「2026年に必ずこうなるから、この前提で絶対に動きましょう」

と言い切るのは危険です。
方向性として押さえつつ、公式発表をチェックする姿勢が必要になります。

② 親名義NISAから“そのまま移す”ことはできない

  • 親の新NISAで積み立てている資産を、
    子ども支援NISAができたからといってそのまま“移管”することは想定されていません。

  • 基本的には

    • 親口座で一度売却(もしくは資金を新たに用意)

    • 子ども名義に贈与 → 子ども支援NISAで運用
      という流れが必要になります。

金額によっては贈与税の問題も絡むため、
大きな金額を動かす場合は事前に専門家へ相談した方が安心です。

 

5.いま(2025〜2026年)できる現実的な準備

「制度が決まってから考えよう」と思っていると、
スタート時に何も積み立てていない…ということにもなりかねません。

こども支援NISAを見据えて、
2025〜2026年のうちにできる現実的な準備は、例えば以下のようなものです。

① 親の新NISAで“子ども用枠”を決めておく

  • まずは親名義の新NISAの中で、
    **「これは子どもの教育・将来資金として積み立てる」**という枠を決めて運用を開始しておく。

  • こども支援NISAが始まった時点で、

    • 新たな積立は子ども名義に切り替える

    • 既存分は必要に応じて贈与・移し替えを検討

という二段構えにすると、
制度の有無に関わらず準備が進むのがメリットです。

② 教育費・“残してあげたいお金”を分けて考える

こども支援NISAは、

  • 「教育費」

  • 「将来残す資産」

どちらの目的にも使える器になり得ますが、
目的をごちゃ混ぜにすると運用設計がブレます。

  • 高校〜大学の学費や受験費用:
    → 使うタイミングが決まっている“期限付きの資金”

  • 子どもの20〜30代以降の支援(留学・起業・住宅など):
    → もっと長期で育てて良い“期限ゆるめの資金”

この2つをざっくり分けて考えた上で、
どちらをこども支援NISAで、どちらを普通預金や親のNISAで用意するかを考えると、
全体像が掴みやすくなります。

6.まとめ:こども支援NISAは「スタートを早めるための追い風」

2026年以降に導入が見込まれている、こども支援NISA(仮称)は、

  • 未成年でも自分名義で長期・分散投資ができるようにする

  • 旧ジュニアNISAより引き出しやすく、使いやすい設計を目指している

  • 家計単位では、教育費+将来の自立資金を準備する新しい選択肢になり得る

という意味で、ポジティブな制度になりそうです。

ただし、最終的な制度内容・開始時期はまだ確定していません。
具体的な投資判断や税務判断は、今後公表される正式な法案・ガイドライン、
そして税理士や専門家の最新解説を確認したうえで行う必要があります。

それでも一つ言えるのは、

「制度の詳細を待つかどうかに関わらず、
子どものための資産形成は“早く始めた方が有利”」

というシンプルな事実です。

  • まずは親名義の新NISAで“子ども用の積立”を始めておく

  • 制度が固まり次第、こども支援NISAをどう組み合わせるかを検討する

この二段構えで考えておくと、
2026年以降の制度変更も、むしろ家族の資産形成を加速させる追い風に変えやすくなるはずです。