税金を「支払う」から「資産に変える」へ。―― 厚生労働省のデータから読み解く医師の老後リスクと不動産活用

「忙しく働いているのに、税金と社会保険料で思ったほど手元が増えない」。高所得の勤務医の先生ほど、この違和感は強くなります。しかも2026年以降は、人口構造と社会保障の構造上、“負担が軽くなる未来”を前提に動くのは危険です。感情論ではなく、まずは公的データで現実を確認してみましょう。

社会保障制度

 


1. 医師が直視すべき「社会保障のサイズ」

厚労省は、社会保障給付費(年金・医療・介護など)が2025年度(予算ベース)で140.7兆円(対GDP比22.4%)に達していると示しています。内訳も重要で、同資料では社会保障給付費のうち 年金62.5兆円(44.4%)/医療43.4兆円(30.8%)/福祉その他34.9兆円(24.8%) と整理されています。

この規模は、誰かの善意では賄えません。負担側を見ると、社会保障の財源は 保険料が82.2兆円(59.8%)、公費が55.3兆円(40.2%)という構造が示されています。つまり、「現役世代の保険料負担」が制度の中核。高所得の勤務医が危機感を抱くのは、ある意味で当然です。


2. 老後の“受け取り”は想像より現実的に小さい

医師は現役時代の所得水準が高いぶん、引退後の落差が大きくなりがちです。

厚労省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和5年度)」では、厚生年金(第1号)の老齢給付の平均年金月額(老齢基礎年金を含む)が**14万6千円(14万7千円程度)**と示されています。
また年金財政検証(2024年)概要資料でも、基礎年金(満額)の目安や、基礎年金+厚生年金の平均的な水準が図示されています。

もちろん医師は平均より上振れする人もいますが、問題は「生活水準」。高所得の生活固定費(住居・教育・車・保険・親の介護など)があると、年金だけではQOLを維持しにくい。ここが“老後リスク”の正体です。


3. さらに重いのが「社会保険料」と「制度変更リスク」

社会保障給付費が増え続ける以上、負担の議論は続きます。財務省が公表する国民負担率(租税+社会保障負担)は、近年も高水準で推移しています。
加えて厚労省の審議資料では、医療保険や介護保険において市町村民税の所得情報を基に保険料等を算定している一方で、非課税所得や源泉分離課税の金融所得、NISA口座の金融所得、金融資産などは原則勘案されないという整理が示されています。

この点は今後の制度設計次第で変わり得ます。実際、政策文書では「負担の公平」や「金融所得の勘案」といった論点が議論されています。
つまり、勤務医が考えるべきは「今の税制で得するか」だけではなく、制度が動いても耐えられる資産設計です。


4. 発想転換:税金を「払いっぱなし」にしない

ここで言う「税金を資産に変える」とは、脱法的な話ではありません。ポイントは2つです。

  1. 税・社保が重い現役期に、合法的な“控除・非課税枠”を最大限使う

  2. 老後に向けたキャッシュフロー資産(収入の柱)を持つ

前者は王道です。iDeCo・NISA・各種控除の取りこぼしを潰す。これは“やらない理由がない”領域です。

後者が今回のテーマ。不動産(投資マンション)を検討する意味は、単に「節税できる」からではありません。医師の場合、老後の不安は「年金が少ない」よりも、現役の税・社保負担が重い中で、将来の収入源が年金一本になりやすいことにあります。ここに“第二のキャッシュフロー”を作れるかが分岐点です。


5. 不動産活用は「節税目的」だと失敗しやすい

誤解されがちですが、不動産は万能薬ではありません。空室、家賃下落、金利上昇、修繕、売却価格のブレ——リスクは確実に存在します。だから医師向けの不動産活用は、次の順番で設計するのが合理的です。

(1)家計耐性(最悪時)を先に決める
「空室1か月」「金利+1%」などのストレスケースで、月いくら持ち出しになるか。ここが許容範囲なら検討対象、超えるならやらない。

(2)出口(売却)条件を先に決める
いつ・いくら以上・何が起きたら売るか。出口が曖昧な投資は、心理的ストレスで長期継続が難しくなります。

(3)“件数”はストレスで決める
最初から複数戸で攻めるより、1〜2戸で「家計とメンタルが崩れない」設計から入る方が再現性が高い。医師は忙しく、意思決定疲れが最大の敵です。

この土台があると、減価償却などにより課税所得の見え方が変わる局面が出てきます(※効果は個人差があります)。節税は主目的ではなく、**“合理的な設計の結果として付いてくることがある”**くらいで捉えるのが安全です。

 

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6. まとめ:危機感は「行動の順番」を決める材料

厚労省のデータが示す通り、社会保障の給付規模は大きく、財源の中心は保険料です。
一方で老後の受取水準は、生活固定費次第で不足しやすい。
そして制度は今後も見直され得る。

だからこそ、結論はシンプルです。

  • まず「控除・非課税枠」を漏れなく使う

  • 次に「老後のキャッシュフロー資産」を、無理のない範囲で作る

  • 不動産は“節税”で飛びつかず、耐性・出口・件数設計で判断する

もし「自分の場合、税負担と老後の不足がどれくらいか」「不動産を入れるなら1戸なのか2戸なのか」を数字で確認したい場合は、年収・家族構成・既存の対策(iDeCo/NISA等)だけで、10年〜老後までの比較シミュレーションは作れます。合う合わないを先に判断できる形にしておくと、意思決定が一気にラクになります。

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